海外拠点だより

2020年12月15日

第7号記事【シンガポールだより】を掲載します。

はじめまして
 初めて記事を執筆します、高知県シンガポール事務所副所長の岡﨑翼です。少しだけ自己紹介させてください。私、県庁勤めの者ではありません。「なに?おまん、どこの馬の骨で?」と、質問が飛んできそうなので、冒頭でお知らせいたします。

 

 実は、本職は ”銀行員” です。が、半沢直樹のように飛びぬけているわけではない、入行10年目のごくごく平凡な銀行員です。
 2019年7月、四国銀行からの派遣として高知県シンガポール事務所に着任しました。全くの畑違い、加えてシンガポールという異国の地での仕事は苦難の連続ですが、生まれ故郷である高知県を元気にしたいという一心で日々奮闘しています。今後とも、温かい目で応援していただけますと幸いです。

 

 さて今回は、10月7日(水)にシンガポールで開催しました賞味会について、皆様にご報告させていただきます。

 

賞味会は高知県の食材をアピールする絶好の機会
 「賞味会」と一言で言っても、案外イメージが湧きづらいものではないでしょうか。簡単に言いますと、高知県が誇る食材を使って料理を創作し、調理方法や素材の魅力、美味しさをアピールする為のイベントです。

 

 単に食材を海外に売り込もうとしても、現地の方々から「これはどうやって使うの?」という反応が返ってくることが珍しくありません。これは私にとって意外な経験でした。特にシンガポールは、日本をはじめ世界中から選りすぐりの食材が入ってくる激戦マーケットです。キラリと光る唯一無二の魅力を伝え、「高知県産のものが欲しい!」と思ってもらえるかどうかが成功の鍵を握ります。我々がシンガポールで賞味会を開催する理由はここにあります。

 

賞味会を通じて「Kochi」ブランドを育てる
 長年にわたる高知県企業との取り組みが功を奏し、シンガポールでは ”Yuzu” が広く浸透しています。私の肌感覚ですが、”Yuzu” と言えばおおよそ8~9割の人が理解してくれます。地元の大手飲料メーカーも高知県産のゆず果汁を使ったジュースを製造販売しており、一般のスーパーでも目にすることができます。シンガポールに赴任した直後、初めて出掛けた近所のスーパーで “Kochi” と書かれたゆずジュースを発見した時は、驚きと嬉しさで感無量でした。

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(上画像)シンガポールの大手飲料メーカーが高知県産ゆず果汁を用いて製造販売するジュース。
パッケージには高知県を表す地図とともに “高知県産のゆずを使用しています” と表記されています。

 

 それでは、高知県を知っている人はどれだけいるかと言うと、残念ながらまだ僅かです。高知県は言わずと知れた日本一を誇るゆずの生産地。シンガポールに根付いたゆずの知名度を活かし、どのように高知県のブランドを育てていけばいいのか、我々が現状向き合っている課題です。そこで、今回の賞味会を「Taste of Kochi」と銘打ち、より多くの人々に “Kochi” を知ってもらおうと企画に取り組みました。

 

 著名なシェフの間で、ゆずは既に当たり前の食材になっており、ゆずに続く新たな柑橘を求める声が多くあります。これを受けて、ゆずだけではない高知県産の柑橘を広くアピールし、「Kochi」ブランドを育てることを新たな目標にしました。我々が着目した柑橘は、文旦・小夏・フィンガーライム・土佐ベルガモットです。せっかくなら、できるだけ新鮮で美味しいものを味わって欲しい!これぞ、高知県人の心意気です。多くの関係者の協力を得て、タイトなスケジュールの中、無事に空輸でシンガポールに食材が届きました。

 

 迎えた本番の10月7日(水)、はたして健闘はいかに。

 

高知県産を一度使えば、その味の虜になる
 当日は、シンガポールの有力メディアの方々総勢15名を招待し、賞味会は大盛況に終えることができました。
提供したメニューは、前述の柑橘をベースとした軽食やカクテル、スイーツです。セミナー形式で高知県の紹介も行いました。メニュー開発には、シンガポールでミシュランを獲得したレストランのシェフやバーテンダー、アジア最優秀に選出された経験をもつパティシエの協力を仰ぎました。

  (画像左)ベルガモット塩のハマチ・オニオンスープとアザミピクルス、ナスとマッシュルームのセビーチェ・フィンガーライム
  (画像中央)エビの文旦ソース・ポメロのせ、(画像右)煎茶ゆずケーキとベルガモットミルクティアイス

 

 参加いただいたシンガポールのメディア関係者は、食品業界に精通した権威のある方々ばかりでした。終始、料理に舌鼓を打ち、写真を撮り、心行くまで賞味会を堪能されていました。その様子を見て、改めて高知県の為にシンガポールで仕事ができることの喜びを感じました。今回協力をいただいたシェフからも、「シンガポールでは柑橘類を料理によく使う。高知県産を一度使えば、その味の虜になるのでは。」とのコメントがありました。当日はNHKシンガポール支局の取材も入り、高知県内でも賞味会の様子が放送されましたので、ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。

 

高知県は必ず、世界に誇る「Kochi」になる!
 早いもので、シンガポールに赴任して1年4ヶ月が経ちました。コロナ以前は近隣諸国へも頻繁に出張し、県内企業様とともに各国での展示会や商談会にも参加させていただきました。その中で、確信したことがあります。それは、高知県の食材の質、味は世界各地のそれに勝るポテンシャルを持っているということです。私は率直にそう感じていますし、シンガポールで高知県を応援してくださる多くの関係者の方々も口を揃えて言われます。だからこそ、多くの県内企業様に自信を持って、海外にチャレンジしていただきたいと心から願っています。

 

 高知県は必ず、世界に誇る「Kochi」になる。

 

 これからも遠く離れたシンガポールから故郷、高知県に思いを馳せて活動してまいります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 
 

執筆:岡﨑翼(高知県シンガポール事務所副所長)

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