海外拠点だより

2020年09月07日

第2号記事 【NYだより】 を掲載します。

清水氏 (高知県食品海外ビジネスサポーター アメリカ東海岸担当 清水紀之氏)

 

「NYで市民権を得ている、またはトレンドになる可能性のある日本の食品」 Trader Joe’s 編

 

はじめまして。高知県食品海外ビジネスサポーター・アメリカ東海岸担当の清水紀之と申します。
昨年の8月に同ポジションに就任いたしました。

 

1999年に渡米し、それから今に至るまでずっとニューヨークで生活いたしており、現在は、2016年に設立した営業代行会社 / 広告代理店の「AGENT N PLUS」社を運営しております。

 

この食品海外ビジネスサポーターの職務を簡単に説明いたしますと、高知県が海外で行う商談会や賞味会のアフターフォローを行うほか、現地輸入商社やバイヤー等に関する情報収集など、県産品の輸出拡大につなげるための活動を行います。

 

「海外拠点だより」に投稿するのは今回が初めてとなりますが、これから機会がある毎に、県内企業各社さまのビジネスに有益となるようなニューヨークの情報をお伝えしてまいりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

 

それでは、題名の通り、今回はアメリカで大人気のスーパーマーケットを通じ、ニューヨーカーに認知されている、または今後認知されるようになる可能性のある日本の食品、食材についてご紹介したいと思います。

 

 

2013年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録される以前より、ニューヨークにおいては、寿司やラーメン、抹茶、日本酒を中心とした日本食ブームが起こってはいたものの、その時点においては、アジア系や一部の白人層からの支持が主であり、日本食や日本の食文化がニューヨーカーの日常生活に根付いたとは言い難いものがありました。しかしながら、登録以降は、日本食が徐々に世界的なブームとなっていった事もあり、ニューヨークにおける日本食事情にも益々の変化が見られるようになってきました。

 

例えば、日本食を求める人々の数は、ここ数年でさらに増加したと感じます。

 

近年(コロナ前まで)、日本を訪れる旅行者の数は、世界的に年々増加の一途をたどっておりましたが、それに比例して、当然ニューヨークからの渡航者数も増加傾向にありました。

 

すると、日本でリアルな日本の食文化に触れた方々で、地元に戻っても引き続き日本の食品を求める人々の割合が高くなっていき、日系・アジア系のグロッサリーや、各種日本食レストランにおける顧客構成比を見ても、明らかに非日系人、非アジア人比率が高くなってきたように感じられます。

 

一方、目線をサービスの提供者側に移すと、そのような消費者ニーズを逃さないよう、今まで日本の食材や食品を取り扱っていなかった小売、外食の各店舗が新たに取り扱いを開始したり、また、非日系オーナーや外国資本が経営する日本食レストランの出店も増えるなど、以前に比べ、一般消費者が日本食、日本の食文化に触れることができる機会がさらに増えた事や、ニューヨークにおける日本食ビジネスの裾野の広がりを感じずにはいられません。

 

 

また、こうした市場の変化を世間に周知し、ブームの火付け役となった各種メディアの存在も大きいと感じます。年を追うごとに、日本の食にまつわる情報をメディアが取り扱う頻度も上がり、その内容もより深く、多種多様になってきたように思います。
特に、インスタグラムをはじめとする各種SNSの流行が、日本食や日本の食文化の啓蒙、疑似体験の機会をオンライン上にて増幅させたことにより、この世界的な日本食ブームをさらにもう一段加速させたものと考えます。

 

結果、今では、地元のニューヨーカーのみならず、観光やビジネスのためにニューヨークを訪れる米国他州在住のアメリカ人や外国からの旅行者たちが、ニューヨーク訪問の目的のひとつとして日本食体験を挙げるまでに、ニューヨークの日本食ビジネスは成長したと言えます。

 

 

それでは冒頭に戻り、以前と比較し、果たして現在どの程度までニューヨーカーの日常生活に日本食や日本の食文化が浸透してきたのか。今回はアメリカ人御用達のスーパーマーケットとして認知されている人気店「Trader Joe’s(トレーダージョーズ)」というフィルターを通じ、現在、同店にてどの程度日本の商品が販売されているかを確認することで、その浸透度を探ってみたいと思います。

 

まずは、Trader Joe’s(以降、日本人から親しまれている愛称の「トレジョ」で表記)の簡単な紹介からはじめますが、トレジョは、1967年の創業から50年を越える、オーガニック商品を扱う老舗のスーパーであり、現在、全米42州に約500店舗を出店する超大人気チェーン店です。一瞬オーガニックスーパーと聞くと若干敷居が高いイメージを持たれるかと思いますが、実際のところは、新鮮で高品質の食品が低価格で手に入る安売りチェーン店として大勢の方々に認知されています。

 

Trader Joe's 外観(HP) (Trader Joe’s 外観)

 

大人気の秘密は多々ありますが、それはまた別の機会にご紹介するとして、今回のレポートで特筆すべきは、トレジョの商品は「自社開発のプライベートブランドが全商品の8~9割を占める」という点にあるかと思います。

 

トレジョは、商品の回転率や開発のスピードが早いことで有名です。
一般的に食品メーカーやサプライヤーは、売り場の棚を確保するために多額の棚代を小売店側に支払い自社商品を置くという慣習があり、結果、資本力のある大手メーカーが競争に勝つ構造となっているため、どの小売店の棚にも、皆が知る商品パッケージが並んでいる事が常ですが、トレジョは棚代を徴収しない方針のため、そういったメーカーやサプライヤーとの関係性を気にせず、売れない商品は即座に販売中止にできるため、常に消費者のニーズに応える商品展開が可能となっています。

 

したがって、消費者的にも毎回違う商品を目にすることで買い物をする楽しみが増えるのと同時に、逆に言うと、店に置かれているのは、ほとんどが販売中止を免れた商品であるので、ハズレ商品に出会う確率も低くなります。

 

自社がメーカーであり、自社で企画、製造した商品を自社の店舗で販売し、かつ消費者の販売データを即分析できるので、商品の改善スピードや販売中止の判断も即座に行えます。すなわち、トレジョの棚に並ぶ商品は、トレジョ側の厳しい市場調査の結果、売れるポテンシャルを秘めていると判断された商品、ならびに、その中から消費者の支持を勝ち取った商品のみしか実質存在していないのです。

 

 

前述の理由から、現在トレジョで販売されている日本の商品は、ニューヨーカーの日常の食卓に並ぶ食品として、高い確率で彼らに支持、認知されている、または今後ブレイクする可能性があると言えるのではないでしょうか。

 

 

以下は、2020年7月末時点における、トレジョで販売されている日本関連食品のリストになります。ニューヨーク市、マンハッタン区内のイーストビレッジ地区に立地する店舗を訪問し、リサーチを行いました。

 

なお、リストには「日本産」ではない商品(例えば、ふじリンゴ)も含まれておりますが、今回は産地ではなく、日本に関係の深い食品という大きなくくりでのリサーチ結果報告とさせていただきます。

 

それから、日本関連食品リストの後に続いて、トレジョの売れ筋商品BEST8も紹介いたします。これらは、トレジョ主催で毎年開催されている「11th Annual Customer Choice Awards Winners」にて消費者より選ばれた商品であり、アメリカ人の嗜好が垣間見れます。

 

 

また、諸事情により、このレポート上では商品画像を掲載できないものの、今回の調査結果を貿易協会にも報告しておりますので、ご関心のある方は貿易協会まで閲覧をお申込みください。日本を代表する食材、食品がどのようにローカライズされ販売されているのか、商品パッケージの工夫などと共にご覧いただけるかと思います。

 

 

以上、これらの情報が、これからの皆さまの商品開発、商品展開において何かしらのヒントになりましたら幸いです。

 

 

<日本に関連する商品のリスト>

SPROUTED TOFU (EXTRA FIRM) $1.99 HIGH PROTEIN TOFU (SUPER FIRM) $2.49
BAKED TOFU (TERIYAKI) $3.69 SRIRACHA -FLAVORED- BAKED TOFU $3.69
JAPANESE SWEET PATATOES (EACH) $1.29 MISO VEGETABLE & BROWN RICE (SAUCE KIT) $4.99
FREEZE DRIED FUJI APPLE SLICES $2.29 SPARKLING GREEN TEA $1.49
MATCHA GREEN TEA 99¢ GREEN TEA LEMONADE $2.99
RICE CRACKER MEDLEY $2.29 RICE CRACKER MULTISEED WITH TAMARI SOY SAUCE $2.99
SAPPORO BEER $3.29 SHIITAKE MASHROOMS $3.29
FUJI APPLES 69¢ PANKO BREADED TILAPIA FILLETS $5.99
SOYAKI $3.29 YUZU HOT SAUCE $4.99
SPICY SALMON GYOZA $4.99 THE CRISPY CRUNCHY MOCHI RICE NUGGETS $2.99
THAI SHRIMP GYOZA $4.99 THAI VEGETABLE GYOZA $3.99
SHIITAKE MUSHROOM CHICKEN $4.99 BBQ CHICKEN TERIYAKI $4.99
WASABI -ROASTED- SEAWEED SNACK 99¢ ROASTED TERIYAKI SEAWEED SNACK $3.49
SHELLED EDAMAME $1.99 LIGHTLY SALTED EDAMAME $1.99
JAPANESE STYLE FRIED RICE $3.29 MISO GINGER BROTH $1.99
SHRIMP TEMPURA WITH SOY DIPPING SAUCE $7.99 GYOZA DIPPING SAUCE $2.49
FURIKAKE JAPANESE MULTIPURPOSE SEASONING $2.49 MULTIPURPOSE UMAMI SEASONING BLEND $2.99
MATCHA ALMOND BEVERAGE $2.29 MATCHA LATTE $3.99
SENCHA TEA $2.99 GREEN TEA $2.99
UNSWEETED GREEN TEA $1.69 UNSWEETED BLIEBERRY & POMEGRANATE GREEN TEA $1.69
CHOCOLATE PEANUT BUTTER MOCHI $4.49 STRAEBERRY MOCHI $4.49
VANILLA MOCHI $4.49

 

<11th Annual Customer Choice Awards Winners>

FAVORITE OVERALL 部門 Everything But The Bagel Sesame Seasoning Blend $1.99
FAVORITE ENTREE 部門 Mandarin Orange Chicken $4.99
FAVORITE VEGAN / VEGETARIAN ITEM 部門 Cauliflower Gnocchi $2.69
FAVORITE SWEET TREAT 部門 DARK CHOCOLATE PEANUT BUTTER CUPS $4.29
FAVORITE SNACK 部門 Plantain Chips $1.79
FAVORITE BEVERAGE 部門 Non-Dairy Oat Beverages $3.99
FAVORITE PRODUCE 部門 Avocados $3.99
FAVORITE CHEESE 部門 Unexpected Cheddar $3.99

★参照WEBSITE : https://www.traderjoes.com/digin/post/11th-customer-choice-winners

PAGE TOP

公益社団法人 高知県貿易協会

所在地:高知県高知市丸ノ内1-2-20 高知県庁本庁舎内

TEL:088-821-0033 FAX:088-822-3065