海外拠点だより

2021年04月20日

第13号記事【上海だより】を掲載します。

上海からはじめまして

仇さん②  (高知県食品海外ビジネスサポーター 中国担当 仇 蘊琰(きゅう うんえん)氏)

 

 初めて海外拠点だよりに寄稿させていただきます。2020年9月より高知県食品海外ビジネスサポーター・中国担当として活動する仇蘊琰です。現在、上海に在住しています。高知県の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 ビジネスサポーターに就任する以前、私は上海にある水産輸入卸会社に勤めていました。その会社では、日本の水産卸市場や養殖場から刺身グレードで中国まで輸入し、主に国内の高級料理店に販売をしていました。私はここで初めて高知県産の魚に出会いました。養殖魚を代表する宿毛湾で育った黒浪マグロ、天然の鮮魚である金目鯛やカツオ、プロトン凍結された高知県産シマアジ、オオモンハタなど、色々な魚種を取り扱っていました。
 また、高知県水産物輸出促進協議会が出展した青島国際漁業博覧会での黒浪マグロの解体ショーや、プロトン凍結天然魚等の販売促進を図るための中華料理やチェーン店向けの賞味会を企画する仕事の中で、高知の水産物の商品特徴や魅力を理解していくことができました。そういった知識を活かし、高知の金目鯛を顧客飲食店に詳しくPRした結果、金目鯛の特別メニューを開発していただいた経験もありました。
 一昨年末にこの会社を退職しましたが、ビジネスサポーターという形で引き続き高知県産品の海外における販路開拓に携わるチャンスをいただき、とても嬉しく思っています。

 

 私がビジネスサポーターに就任した2020年9月は、新型コロナウイルスの影響により海外渡航ができない状況でした。高知県職員や事業者の皆様自ら中国に渡航することが難しい中、私が高知県代表として北京や成都でのイベントに参加し、県や中国商社の皆様と連携して、当地で土佐酒やマグロなど水産物のプロモーション活動を行ってまいりました。

 

■土佐酒プロモーション(@北京・一元居酒屋)

 

■高知県産水産物・土佐酒賞味会(@北京・西村シャングリラホテル)

 

■ジェトロ成都主催・日本酒推薦商談会(@成都)

 

■中国市場の魅力
 日本から中国に生の本マグロが初めて空輸されて以来、すでに15年もの月日が経ちましたが、中国国内にはポテンシャルを秘めたマーケットがまだまだあります。
 日本料理の店舗数は76,000軒(2019年末時点)で、うち上海には4,000軒近くあります。その日本料理店で最も多い顧客層は、25歳から35歳の女性の方です。その理由として、中国人消費者が日本料理に対して「油と塩を抑えられる」というイメージを求めていることが考えられ、そこには健康志向を重視する傾向がはっきりと見られます。
 また、インターネット販売やECプラットフォームによる新型販路が、皆様の想像以上に急速に発展しており、消費者が好むアプリからいつでもどこでも携帯端末の画面を通して、興味のある商品情報をゲットすることができます。販売者側の持つ産地や商品情報等を、消費者側へ直接発信することができるので、特に海外の販売者にとっては良いチャンスであると思われます。

 

■中華料理文化の地域性
 前文で紹介したとおり、中国には76,000件の日本料理店がありますが、全形態の飲食店となると7,118,058軒もあり、日本料理店が占める割合はまだ1%ほどです。
 他の国と違って、中国の料理文化は比較的歴史が長く、地域的な好みの差がかなり激しいのが特徴です。上海や北京以外の地域では、経済が急速に発展しているため、高級料理店の展開スピードも速くなっています。これらの地域で日本食材の販路を開拓するためには、地元の料理文化とどう融合するのか、消費者に受け入れてもらうためにどう紹介するのか、そういったことがこれからの課題であると思われます。

 

■酒文化
 中国の酒文化も歴史が長く、日本酒と同じような醸造酒で日本でも人気のある紹興酒は、基本的に浙江省や江蘇省が所在する華東地域限定のお酒です。それ以外の地域では蒸留酒の”白酒”がメインで飲まれます。このような酒文化の中で、近年の中国では日本料理店の発展とともに、特に華東地域を中心として日本酒マーケットが急成長しています。
 ビジネスサポーターに就任したことをきっかけに日本酒の勉強を開始し、2021年4月に日本酒「国際唎酒師(SSI)」資格試験に合格いたしました。この勉強の過程で日本酒文化をさらに深く理解でき、日本酒を造る職人の精神に感動いたしました。また、高知県の酒飲み文化にも特徴があると伺っており、こういう楽しくお酒を飲む文化もこれから日中両国で交流ができればいいなぁと考えております。今回私が得た日本酒に関する知識も活用して、土佐酒の魅力を中国人消費者の皆さんに紹介していきたいと思います。

 

 日中間の渡航が自由にできないため、高知県にお伺いする機会がまだ得られていませんが、いつか高知県の皆様の中国における販路開拓活動に役立てますよう、これからたくさんの高知県産品の知識を蓄えていきたいと思っています。
 高知県の皆様、これからよろしくお願いいたします。

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