Ryoma dreamed Beyond the Pacific Ocean

2020年09月14日

第3号記事【パリだより】を掲載します。

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奥本氏② (高知県食品海外ビジネスサポーター 欧州担当 奥本智恵美氏)

 

「フランスで人気のユズ、そしてこれから」
高知県産ユズのフランス向け輸出が始まった2012年から、今年で8年を数えます。その輸出量は年々増え、年間約4トンの青果ユズがフランスに向け輸出されており、ユズ果汁やぽん酢などの加工品と合わせて他の欧州国へも展開しています。高知県産ユズは、ミシュランガイド星付きのような超一流レストランシェフ、トップ・パティシエ(=菓子職人)の間でブームを巻き起こしました。「Yuzu」の言葉は、フランスの2大辞書の一つである「Le Petit Larousse(ル・プティ・ラルース)」の2017年版に、その年の新しい単語として収載されています。

 

ここ数年は、スターシェフやスターパティシエの店だけでなく、パリを中心にビストロと呼ばれる庶民的な食堂風レストランや、街角の小さな菓子店やチーズ専門店でも、「Yuzu」の文字を見る機会が増えてきました。これと並行して、プロフェッショナルだけでなく、家庭での料理や菓子作りにもユズが使われるようにもなりました。
2017年から2019年にかけて、私がパリの日本食材店(*1)の店長を務めていた時には、こうした一般のユズファンの多さに驚かされました。彼らは入店するなり、ユズ果汁やユズシロップなどを、慣れた手つきで買い物かごに入れていきます。年に一度だけ冬に入荷される、ユズ青果をねらって来店する方もいました。フランスでは家庭でドレッシングを作るのが一般的なので、ファンはレモンの代わりにユズを使ったり、あるいはクリームやチョコレートの中に入れてユズ風味のデザートを作るそうです。逆に私からは、ユズ果汁を焼き魚にかけたり、ぽん酢を作っておひたしや鍋料理に合わせる日本流を伝えると大変喜ばれました。またユズのピュレは、ヨーグルトやヤギのチーズ、またフォアグラとの相性が良いので、こうしたフランス流ユズの楽しみ方も提案していました。
ユズを知らないお客様には試食をしていただき、その結果文字通り、ユズの虜になった方は少なくありません。フランス人はとても柑橘類が好きなのですが、ライム(強い酸味)・グレープフルーツ(苦味)・みかん(甘さ)の全てを合わせ持つユズ特有の味と、とても爽やかな香りに魅力を感じるようです。

 


※全て筆者撮影

 

レストランや菓子店など以外では、近年ではフランスの大手食品メーカーや、スーパーマーケットチェーンにもユズが広がり始めています。しかしながら、実はこうした大企業では必ずしも日本産のユズ果汁やピュレを原材料として使用しているとは限らず、中にはフランス製のユズ香料(*2)が使われている商品もあります。「Yuzu」と題した商品が増え、市民権を得るようになることは喜ばしいのですが、やはり本物のユズの味と香りを知って欲しいと思います。先に述べたようなユズへの親しみは、パリでは顕著ですが、地方ではまだそこまで浸透しておらず、今後マーケットが拡大する余地があります。日本食ファンの広がりと共に、日本産ユズ、特に高知県産ユズの認知度がフランスをはじめ欧州全体で高まることを願っています。

 

*1 高知県産ユズを輸入販売するOLIVIER DERENNE社が2017年に開店した店。「Nishikidori Paris」
*2 商品名に「Yuzu」の名前を使うことのできる香料(Arōme naturel de Yuzu)。

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